おめでたい席にはつきものの扇、別名を「末広」と言います。
要から扇面にかけて広がっていく形「末広がり」からそう呼ばれるのですが、ことに一族の繁栄を象徴する形です。
そのため扇はお祝いごと、特に婚礼の場にふさわしい物とされるわけです。
そんな意味を持つ扇柄は「吉祥紋」として晴れ着全般によく使用されます。
写真のように、扇面に更におめでたい文様を入れたものが多く見られます。
季節感、祝いのメッセージなど、想いを二重三重に表現できますね。
貴族の装束・十二単の装いで用いられる「檜扇(ひおうぎ)」の柄もあります。
檜扇とは、ヒノキの薄い板を絹糸で綴じて作られている扇のこと。
扇面にはやはり美しい絵が描かれます。
華やかな絵画で彩られた檜扇は貴族階級の姫君の持ちもの。
高貴な女性の象徴となるものだから、縁起のよい柄とされているのかもしれません。
蝙蝠(かわほり、骨のある扇の古い呼称)はすっきりとした印象に、檜扇はたおやかな印象に花嫁を彩ってくれます。
幸せが末広がりにひろがっていくように……。
花嫁の幸せ、そして家族の幸せへの願いが扇の持つメッセージです。