明治、大正、昭和初期~戦前辺りまではお誂えで贅沢な着物もたくさんつくられた、まさに古きよき時代、私も愛してやみません。その時代のイメージで結婚式をしたいというお好みを同じくする方もきっといらっしゃるはず。レトロな花嫁にふさわしい衣裳やロケーションをご紹介します。
衣裳は黒引振袖
20年程前に和装のリバイバルが起こり、その頃からぐんと増えたのが黒引振袖。レトロな装いとして人気が高まり、多くの花嫁さんが引振袖をまといました。
明治、大正、戦前の昭和の一般階層の花嫁が多く着用したのが黒紋付の振袖でした。黒は明治に入って第一礼装と定められた色、花嫁衣裳においても格が高い衣裳とされたということでしょう。花嫁衣裳として着た後は、袖を短くして黒留袖にして着た例が多かったようで、私の祖母も実際にそうしたと聞きました。
レトロな印象の装いにしたいならシックな色づかいの振袖を。当時は絹に昔ながらの染めで誂えた着物がほとんどの時代、やはり当時の雰囲気を思い起こさせるような衣裳がおすすめです。
柄は意外と大胆なのが当時の特徴。同じ吉祥文様でも柄の大きさや配置のしかたが今と異なるなど、お誂えならではの個性があります。レンタルするために万人に似合うようにつくられた現代の衣裳とはそこが大きな違いです。
当時着られたアンティークの衣裳を探してみるのもいいですね。まとうでもコレクションを持つ会社と提携しています。やはり本物は素晴らしいです。
文金高島田に角隠しは必須
ヘアスタイルはもちろん文金高島田、挙式の際には被りものが必要で、引振袖には角隠しを合わせます。
角隠しは塵除けのための布なのですが、女性の念が籠るとか、不浄の象徴とされた髪を隠すために被るとも。神様の前に出るには必須の装いだったのですね。
同時代の洋館や和洋折衷の建物で
明治・大正期の最先端は、その頃日本に増えつつあった洋館。日本家屋の中にも洋室が作られるなど、和洋折衷の建物も増えました。衣裳も建物も時代を映す鏡、同時代の場所にはよりしっくりと馴染みます。
戦前までは支度や結婚式を自宅で行うのも一般的だった時代、ミニマムな結婚式にするなら自宅を舞台にするのも素敵です。
衣裳も場所もしっかりこだわって、 レトロを極めた結婚式。その時代をコンセプチュアルに形にすることで、ゲストとともに雰囲気を味わうひとときになるはずです。